日本脳炎ワクチン接種を開始する年齢は、一般的には3歳からですが、

生後6か月から開始する方法もあります。

当院でも、以前から接種希望者には、生後6か月からを勧めていました。

これは、「日本脳炎流行地域に滞在、渡航する小児。最近日本脳炎患者が発生した地域・ブタ日本脳炎抗体保有率が高い地域に居住する小児に対しては、生後6か月から日本脳炎ワクチンの接種開始を推奨する」(日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュールより)、という考えに基づいたものです。

日本脳炎ウイルスは、感染している豚の血を吸った蚊によって、ヒトが血を吸われる時に体内に入り、感染を起こします。

ブタの血液で、日本脳炎抗体が上昇していると、そのブタが以前、ウイルスに感染したことを疑われます。

そして抗体を持つブタの割合が高いほど、その地域では日本脳炎に注意する必要があります。

しばらくブタの抗体保有率をチェックしてなかったので、反省して調べたら驚きました。

昨年度の感染割合を県別で出しますとこのようになります。(下記)

山口県は、白色になっており、検査を実地してないため明らかな割合は不明です。

ただ、周囲の県は全て赤色になっており、山口県はブタの日本脳炎ウイルス抗体保有率が80%以上の県に囲まれ、日本脳炎リスクが高い地域だと、私は考えます。

また、コガタアカイエカという蚊がウイルスを移すのですが、夜間活動し、行動範囲が2kmと、一般の蚊(約150m前後)よりも行動範囲が広いことも、注意が必要です。

「早くワクチン接種しても、抗体が時間と共に少なくなるのでは?」

といった意見もあったのですが、

日本脳炎ワクチン第1期を3歳未満で完了した児における 第2期接種時の中和抗体価の持続.

(Journal of New Remedies & Clinic / Shin’Yaku to Rinsho, 2025, v. 74, n. 3, p. 247)

といった報告もあり、生後6か月からのワクチン接種でも、個人差はあっても、大半は抗体が維持されるようです。

引き続き、当院では生後6か月からの日本脳炎ワクチンを推奨します。