年々増加傾向で、その中でもスギ花粉によるアレルギー性鼻炎は、国民病とまで呼ばれています。
発症年齢も早くなり、私が小児科医になった頃には、3歳前後でスギの花粉症に出会う機会は、ほとんどなかったのですが、今では疑う必要があります。
先に、アレルギー性鼻炎の話を出しましたが、他にも気管支喘息など、様々な疾患が含まれます。
今回は、そんなアレルギー疾患について、まとめてみたいと思います。
1 アレルギー疾患とは?
「アレルギー疾患とは何か」、を知るため、まずはアレルギーの機序について考えてみましょう。
アレルギー疾患の原因となる免疫細胞は、自分の体に入り込んだ異物(体と異なる物)と戦って、体を守っています。
免疫細胞が機能しなければ、害をなす異物が侵入した際に、体が無防備となり、安全を脅かされます。
異物との戦い、排除は、免疫細胞の重要な役割と言えるのですが、攻撃が激しくなると、体に負担がかかることがあります。
アレルギー疾患は、「異物との免疫反応が激しく、結果自分に負担がかかり、日常生活に影響が出てしまうもの」、と思ってもらえたらいいです。
目で起きればアレルギー性結膜炎、鼻で起きればアレルギー性鼻炎、食物摂取によって全身にアレルギー反応が起これば食物アレルギーとなります。
厄介なのは、本来食べ物は、体にとって大事な栄養源ですし、スギ花粉は、直接体を攻撃しないのに、免疫細胞の攻撃対象にされうる点です。
(免疫細胞の誤作動によって、直接自分の体を攻撃される病気も、大きく分けるとアレルギーに含まれますが、別の分野になるので、今回は除きます)
2 なぜ発症するのか?
アレルギー疾患の発症には、主に遺伝的素因(先天的)と、自分達を取り巻く環境要因(後天的)が重要と考えられています。
まずは、遺伝的要因から説明します。
発症する方の多くが、元々異物に対して、過剰に反応しやすい体質を受け継ぐ(遺伝)ことがあり、家族にアレルギー疾患の方がいると、発症する確率が高くなります。
また、一つに限らず、順々に複数のアレルギー疾患を発症することがあります。

典型的には出生後(木の根っこ)から、年齢と共にアレルギー疾患を順々に発症していきます。
全員がこの図の通りに発症するとは限らず、成人で突然FA(食物アレルギー)を発症することがありますし、花粉症だけの方も多く存在します。
また、家族と異なる遺伝子異常を持つ、子ども達の一部では、重度のアレルギー疾患を発症することもあります。
次に環境要因について説明します。
アレルギー疾患は、環境要因(例えば、日本のスギ花粉飛散量はとても多い)によって、経年的に影響を受け続けると、より発症しやすくなります。
その理由として、同じ異物の侵入を繰り返すほど、免疫細胞に敵と認識されやすいため、と考えられています。
また、私たちの皮膚や粘膜など、外から体内を守るバリアーの問題が、関係することもあります。
FAの一部では、本来食べ物が口から入り、腸から吸収されるのですが、何らかの理由で皮膚のバリアーが脆弱なため、皮膚から食物抗原が侵入して、敵と認識されてしまい、その反応を繰り返すことで、発症することが分かっています。
このように、アレルギー疾患は、遺伝子要因(内的要因)、環境要因(外的要因)が、複雑に絡み合った結果発症する、多因子疾患とも言えます。
今回は、アレルギー疾患について大まかにまとめてみました。
また、機会を設けまして、それぞれのアレルギー疾患のお話も、していきたいと思います。