師走に入り、ようやく冬らしい寒さが到来したように感じます。
当院に実っている夏みかん(甘夏もあるようです)が、満月のように色づいてきました。
開業している萩市では、明治維新後に仕事をなくした士族の新たな事業として、栽培を推奨されたこともあってか、あちこちで夏みかんに出会います。
当院の敷地内にも数本の木があり、仕事帰りに収穫して、マリネなどの料理、ポン酢またはジュースにしたり、色々と重宝しています。そんな夏みかんは、漢方薬にも使われています。
未熟な、まだ綺麗な緑色の夏みかんや橙(ダイダイ)の実を乾燥させたものは、「枳実」、熟成した皮を乾燥させたものを「橙皮」と呼びます。
枳実には、気が停滞した状態を改善する(理気作用)効果があり、理気作用がある生薬には、香りの良いものが多いようです。
当院でも扱う四逆湯など、さまざまな漢方に使用されています。
時には、含まれている植物のことなど、思い浮かべながら服用するのも、一興かもしれません。
最後に、夏みかんではありませんが、枳実の材料つながりで、ダイダイのお話をします。
昔から萩市では、お正月に鰤(ブリ)を食べる習慣があります。
幼少時に祖父から教わった、ダイダイを使う食べ方です。
1 取り皿に醤油を入れる
2 卸し大根を掬って、2に入れる
3 鰤のお刺身を、その上に乗せて、ダイダイを絞る
あとは、お好みで醤油少し垂らしたりして食べます。
ダイダイの爽やかな酸味と程よい甘さと、少し辛めの大根おろしが、口に残る脂を程よくさっぱりとさせます。呑める方は、日本酒もおすすめです。また、辛味大根にすると、ワサビとは趣が異なる、見事な辛さを味わえます。
寒鰤の刺身だけでは、時に脂が勝ちすぎて、数切れしか食べれないこともありますが、この方法だと、何切れも口に運んでしまいます。
おすすめの食べ方ですので、機会がありましたら、一度試してみてください。